設計:間遼一/Ryoichi Aida (Instagram:@ryoichi_aida_architecture)
場所:新潟県
撮影:鶴見哲也(Life is wonder)
築60年ほど経った日本家屋。
親子の同居をきっかけに、住まいの一部を子世帯向けにリノベーション。
建築家自身が暮らす空間であり、個人名義の実空間としては処女作と言える。
LDKは、木造に鉄骨梁を飛ばした大きな伽藍堂。
そこに、いかにして生活の拠り所をつくるかがテーマのように感じた。
床仕上げの違いとキッチンの造作家具により、拠り所のきっかけがつくられている。
3スパンの空間の1/3を、大理石のモザイクタイル貼りとし、観葉植物やソファーを配置。
形は違えど、私にはここが縁側のように見えた。
外部空間を感じられる中間領域をで、緑という自然を感じたかったのだろう。
キッチンの造作家具は、作業台とダイニングテーブルを兼用。
あえてダイニングテーブルを置かないことで、生活のゆとりや将来的な柔軟性を備えている。
キッチンは、この空間で最も視線が抜ける窓が見える位置に配置してあることから、食事を楽しむ暮らしという趣向が見えてきた。
そして、この空間で最も特徴的な操作が、大きな円形の鏡を配置したことだと思う。
直径1.2mの鏡は、鏡本来の姿見としての機能だけではなく、空間拡張機能を備え、開放感を演出していた。
通常よりも大きな鏡に映る景色は、まるで隣の異世界のように感じられ、また見る位置によって変わる鏡の向こう側の世界がとても不思議な雰囲気。
鏡は自身を映すだけではなく、向こう側の世界を映して広がりを感じる装置にできる気付きがあった。
建築家自身の自邸であるが故に、あまり見ない材料の使い方に挑戦している所が随所にありとても面白かった。
これから、どんな暮らしが展開され、この処女作と言える作品を皮切りに、どんな作品を世に放っていくのか楽しみだ。
以上のことから、建築写真の撮影のポイントはこちら。
・設計の構成がわかりやるいように、垂直水平がしっかり出たグリット構図をメインに撮影
・室内外の明暗差が大きかったため、別々の露出の写真を合成(露出ブレンド)し、白飛び黒潰れし過ぎないよう配慮
・鏡や遠くの窓による、開放感への配慮をしっかり意識
・タイルやガラスの照り返しは、PLフィルターで若干軽減(道具の準備も周到に)
(※コメントは、建築写真家として捉えた私見です)
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