設計:株式会社JA建設エナジー
場所:石川県
撮影:鶴見哲也(Life is wonder)
この住まいは、延べ床面積28坪程度。
家としてはとても小さい。
しかし、内部空間は不思議と窮屈に感じない開放感がある。
その秘訣は空間の共有と、天井高さの操作にある。
この住まいには、玄関ホールがない。
LDKの一部で、広い土間として玄関がある。
この思い切った省略と共有により、コンパクトに設計をまとめられた。
土間には、下駄箱を兼ねたベンチがあり、人が集う日はそこに腰掛けることもできる。
小さな住まいだからと言って、友人を招待できないほどの窮屈さではないのだ。
そして、土間の上部は吹き抜けになっている。
この吹き抜けをより効果的に感じさせるため、他の部分の天井高さを思いっきり低くしている。
一般的な天井高さ2.4mに対して、この住まいは2.1m程度だ。
それでも窮屈に感じらないのは、吹き抜けの効果と開口部の位置がしっかりデザインされているからである。
どこに立っても、視線が抜ける窓があり、外部空間を上手く取り込んでいる。
また、階高を低く抑えることで、上下階が物理的に近く、住まい全体の一体感が増す。
住宅において、最も効果的なコストカットは規模縮小だ。
この住まいは、規模縮小でコストカットした分を、断熱性能や内装仕上げのグレードアップ、デザイナーズの照明・家具に投資したみたい。
正に現代の価値観にあった住まいである。
以上のことから、建築写真の撮影のポイントはこちら。
・省略と共有による、コンパクト設計が説明できるパースのないLDKの構図
・吹き抜けと窓の効果がわかる視線の抜けを表現
・吹き抜けをのぞき見ることで、上下階のつながり(近さ)を切り撮る
・こだわりの照明器具は、あえて広角ではない35mmのレンズで、背景もほんのりボカして、シンプルかつオシャレに撮影
(※コメントは、建築写真家として捉えた私見です)
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