2017年第一回奥能登国際芸術祭の眞壁陸二による作品「青い舟小屋」

 

2017年第一回奥能登国際芸術祭の眞壁陸二による作品「青い舟小屋」

 

2017年第一回奥能登国際芸術祭の眞壁陸二による作品「青い舟小屋」

 

2017年第一回奥能登国際芸術祭の眞壁陸二による作品「青い舟小屋」

 

建築写真家が撮る都市風景
撮影日:2017/09/14
撮影:鶴見哲也(Life is wonder

石川県珠洲市は、都市という言葉のイメージからかけ離れた場所。
日本の海上交易の寄港地として栄えた歴史がある。
2017年夏、北川フラム氏をキュレーターに迎え、奥能登国際芸術祭が開催された。
地元石川県で開催された待望の芸術祭だったので、カメラ片手に芸術鑑賞。
ちなみに、金沢駅から珠洲市まで車で約2時間のため、ちょっとした旅行だ。
(新幹線なら、金沢駅から東京駅まで2時間30分)

こちらの写真は、金沢市在住の眞壁陸二氏による「青い舟小屋」という作品。
地域の風景を描いた壁画に目が行きがちである。
しかし、私がこの作品で強く感じた印象は、「海との対峙空間」ということ。
壁画を見て振り返ると、細長い開口部と風に揺れる青い暖簾。
その隙間から見えるのは奥能登の海。
耳には、穏やかな波の音。
きっと作者は、余韻をもデザインしたのだろう。
まんまと私は足を止めて、しばらく穏やかな海と対峙していた。

この写真には後日談がある。
SNSにアップした写真を作者が発見して連絡をいただいた。
海に向かって撮った写真を気に入ってくれて、公式記録集などにクレジット付きで写真を掲載していただいた。
そのやり取りの中で、海との対峙空間だと感じた旨を伝えたところ、
「私の意図をくみ取ってくれてありがとう」
とおっしゃっていただいた。
建築写真を撮る時と同じく、意図をくみ取り写真を撮る力が活かされたいい思い出だ。
なお、残念ながらこの作品は、会期終了とともに解体された。

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