ティルトシフトレンズとは?
建築写真を撮る際、水平垂直を意識するのは大切ですが、その結果どうしても床や地面が大きく写ってしまう経験はないでしょうか? 通常、イメージセンサーとレンズの中心が一致しますが、高さのある建物を撮る際に建物の中心とイメージセンサーの中心が合わず、あおり撮影をしなければ人のアイレベル(カメラを構えた高さ)がイメージセンサーの中心になります。 その仕組みによって、高さのある建物を水平垂直を守りながら撮る建築写真では、イメージセンサーの中心と建物の高さの中心が合わずに、地面の面積が大きくなりがちです。 物理的にカメラを傾けることで解消できますが、水平垂直を出すにはPhotoshop等での編集によりトリミングが必須になり、高画素機でなければ解像度が足りなくなることがあります。 そこで役立つのがティルトシフトレンズです。実際の写りの差
言葉で説明してもわかりにくいので、同じ場所と焦点距離でシフト有りと無しの差を見てみましょう。 使用レンズはTTArtisan 17mm F4 ASPHです。 <シフトなし>
<シフトあり>
椅子の脚に注目すると写りの違いがわかります。
このように同じ場所と焦点距離で撮っていますが、シフトする(平行にずれる)ことでイメージセンサーとレンズの中心をずらして撮影することができます。
ちなみにティルト機能はレンズを傾けることを表し、この機能でピント(被写界深度)のコントロールができます。
過去に木村伊兵衛写真賞を受賞した写真家の本城直季さんのミニチュア風写真は、逆ティルトと呼ばれるピントの合う位置を1箇所だけにすることで撮影されています。
どこのメーカーがおすすめ
ティルトシフトレンズは、Canon「TS-E」やNikon「PC」シリーズがティルトシフトレンズだと有名です。 Canonの方がティルトシフトレンズのラインナップが多いため、「ティルトシフトレンズ=Canon」というイメージがあります。 ただし、どのレンズも10年以上前に製造されており、Canon「TS-E」はCanon EFマウント、Nikon「PC」はNikon Fマウントのため、Canonのミラーレス機(RFマウント)やNikonのミラーレス機(Zマウント)で使用する場合はマウントアダプターが必要です。
さらに、Canon「TS-E」やNikon「PC」シリーズは10年以上前に製造されたレンズのため、新品の入手はほぼ不可能。 特に広角のラインナップは建築写真では人気のため、中古レンズもほぼ出回っていないか、定価よりも高額なプレミアム価格になっています。 代替品として、海外メーカーの銘匠光学のTTArtisanシリーズやLAOWA(シフト機能のみ)が入手可能メーカーになっています。 操作性はCanon「TS-E」やNikon「PC」シリーズの方がつまみを回すだけで強く固定されるので簡単で、銘匠光学やLAOWAは片手でレンズを持ってシフトさせつまみを回して固定するので扱い慣れなければ難しいでしょう。
以上のことから、ティルトシフトレンズはかなりマニアックなレンズで、建築写真を専門にしている写真家ぐらいしか所有していないケースが大半です。 テナント程度の店舗撮影や住宅程度であれば、ティルトシフトレンズが無くても何とかなりますが、規模の大きな建築を撮る際はティルトシフトレンズの有無で建築写真を得意としているかどうか判断しても良いかもしれません。